沈まぬ太陽(一)上・アフリカ篇 / 山崎豊子

お盆の移動中を利用して、山崎豊子沈まぬ太陽」の第1編を読みました!


沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)


あらすじとしては、航空会社の労働組合を率いる主人公・恩地が、組合長として、大々的に会社と戦うも、社長を始め、多くの役員に目を付けられ、パキスタンへ異動を命じられる。
その後も、イラン、ケニアと僻地への異動が度重なる。残酷な仕打ちを受けつつも、恩地が一人のビジネスマンとして、組織と戦う姿を描いた小説です。


内容としては、池井戸潤半沢直樹シリーズ」に近いものがあります。
半沢直樹が「復讐する側」ならば、沈まぬ太陽(一)の現状は「攻めた結果、報復を受ける側」という感じです。
現時点では、主人公・恩地の苦悩が描かれていて、とても辛い場面です。


この小説「沈まぬ太陽」の凄い所は、航空会社の事細かな点も、初心者でも分かり易く表現されている所です。
例えば、途中、航空整備士が業務中に事故死する場面があります。
この事故の場面も、まるで整備士を経験したかのように、飛行機の離発着までのステイの時間や、どういう整備を行う場面なのか、専門的な内容が書かれています。
しかし、決して難しい言葉を並べる訳ではなく、初めて目にする人でも分かりやすいように書かれているのに驚きました。


これを書くには、本当に航空整備士としての知識と技術を持ち合わせた人への取材が丁寧に行われていなければいけない気がします。


この本が完成するには、数々の取材があったんだと、しみじみ思いました。


勿論、山崎豊子と言えば、「白い巨塔」という別世界の話も書いていて、本の裏面にあるあらすじを読んだ雰囲気では、なかなかの人間ドラマが書かれている感じです。
社会人となると、会社での派閥やら権力やらに嫌気が差しますが、大学時代も教授の争いがあったのを思い出します。
当然、病院の組織もそうだろうと思いますし、特に大学や病院のような所は、ホントに権力争いの黒い世界な気がします。


会社が利益をあげるために頑張るのではない。
気に入らない奴が評価されないように、潰すのだ。


所詮、それが社会なのかも知れません。


次は、「アフリカ篇・下」です。
主人公・恩地が歯を食いしばって頑張っているので、報われて欲しい一心です。