沈まぬ太陽(三)御巣鷹山篇 / 山崎豊子


山粼豊子著「沈まぬ太陽(三)御巣鷹山」を読みました!


沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)


この「沈まぬ太陽」が実話をもとに書かれたのを知ったのが、この「御巣鷹山への墜落事故」の内容になります。
毎年、盆の時期になるとニュースで日本航空ジャンボ機の墜落事故の話がでます。
この事故のことがふと連想され、調べてみると、「沈まぬ太陽」が実話をもとに書かれていることを知りました。


これを読むと、この御巣鷹山篇が、ジャンボ機墜落事故について事細かく描写されていて、悲惨な事故だったことが分かります。


それ以上に痛烈に感じたのが、主人公・恩地元の人生が、こんなにも悲劇的なものなのかと感じました。
中東やアフリカをたらいまわしにされた挙句、仕事もなく、部下もいない名ばかり課長の位置で10年近く会社で干されている人生に、一体、彼は何を考えながら耐えて来たのかを考えると、辛い気持ちになります。
一方で、同期入社の行天四郎は、取締役まで上り詰めます。
周囲とは裏で上手くやり取りをする緻密な策略家は、会社という集団の中で生き残って行く策に満ち溢れていて、恩地へ感情移入している読者にとって、嫌なキャラクターに感じてしまいます。
悲しい事実ではありますが、上手くやれる人が出世し、会社に立て付く人間は干される。


この世の中、このような人生となってしまった人は、この恩地元以外にも多くいるような気がします。


人生とは、未だに何が正解なのかが分かりません。


この後、恩地元がどう生きて行くのか、しっかりと見届けたいと思います。