沈まぬ太陽(五)会長室篇・下 / 山崎豊子


明けましておめでとうございます。
今年も細々と、気のある時にブログを更新して行こうと思っています。
よろしくお願いします。


さて、山崎豊子沈まぬ太陽」全5巻を読破しました!


沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)


主人公・恩地が、国民航空という大企業の中で、政治的な力の下、苦しみ戦う姿を描いた小説です。
何よりも「事実に基づき、小説的に再構築された」内容が、こんなにも酷な世界なのかと、読みながら思いました。


途中読んでいた貴志祐介エンターテイメントの作り方」のメソッド、「最後はハッピーエンド」とは裏腹に、恩地の行く末が「このようなものか・・・。」と、思う、惨い内容だったことに、えも言われぬ気持ちになりました。
読み終えて、「あー!読み終わった!面白かったー!」という気持ちになれない内容でした。


でも、社会というのは、小説の中で描かれた腹黒い世界で出来ているのかも知れません。
政治的な圧力、人の動き、策が微睡み、社会を動かしているのかも知れません。
何も知らずに生きて行く方が、ある意味で幸せで、大企業の社長に上り詰める人々は、この小説で描かれているような裏舞台でも凄味を持たなければ、維持することはできないのかも知れません。


全5巻、非常に重い内容で、読み終えるのに多くの日数がかかりましたが、それ程濃い小説でした。
あとがきにて、著者の山崎豊子さんは、数度アフリカの地を訪れ、御巣鷹山ボーイング社の取材も徹底的に行い、5年の歳月をかけ、「沈まぬ太陽」を構築したそうです。
プロの作家が、これほどまでに歳月を懸け、尽くした小説だからこその「重み」が、「濃さ」を引き出していました。


これを機に、また山崎豊子さんの小説を読みたい所ですが、次は、少し軽めの小説でリフレッシュしたい所ですねー。