関ヶ原(中) / 司馬遼太郎
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/06/27
- メディア: 文庫
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この「関ヶ原(中)」では、関ヶ原の戦いを前に、各大名がどちらに味方するか思案する心情が描かれています。
名の知れた大名から、地方の小大名まで、その心情が描かれています。
西にも東にも恩を売る形で、どちらが負けても良いように企む大名。
一度、東に加担するように決めた福島正則ですら、「ホントに東で良かったのか?」を散々悩む姿が描かれています。
多くの大名の策略と、その策略の結果が関ヶ原の戦いの後にどうなったか?が描かれていて、非常に面白い内容になっています。
今回、この「関ヶ原」で登場する人物の中で、非常に好きな登場人物ができました。
です。
島左近は、西軍・石田三成の家臣に当たります。
この島左近は、石田三成の性格を知り尽くし、「関ヶ原」では、その性格の欠点を知っていながら、石田三成の詰めの甘さを客観的に見るように描写されています。
その中で、刺さるセリフが2つあります。
共に石田三成の性格を欠点として吐いた言葉と心の中のセリフです。
「(正論だけで論破する石田三成に対して、)人には感情(こころ)というものがござる。道理や正しさを楯にとって非を鳴らすのは何の利にもござりませぬ。」
(この正論を言う性格が、加藤清正、福島正則、黒田長政などの大名を敵に回してしまった結果に繋がります。)
「(石田三成の真っすぐ過ぎる戦略に対して、)妙案というのは常に片面に欠点をもっているものだ。」
(ここでは島左近は勝機を見いだせる「妙案」を推す立場、石田三成は欠点のある妙案を避け、正論で挑んだ。)
全てを正しく、綺麗に進めて行く石田三成を、島左近は、客観的な目線で忠告する心情は、刺さるものがあります。
まあ、私が型にハマらない生き方が好きで、「正論」や「王道」というような言葉が大嫌いなので、この島左近のセリフが共感できるのかも知れません。
私が、この時の大名で、徳川・石田、二人の性格を知っているならば、徳川につくのは明らかですね。
そういう意味では、初めから徳川側についた気性の荒い武将に近いのかも知れません。