新史太閤記(下) / 司馬遼太郎
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1973/05/29
- メディア: 文庫
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「新史太閤記(下)」は、秀吉を天下取りへ推し進めた「備中高松城攻め」から始まります。
その直後に起きた「本能寺の変」で事態は急変!
山崎の戦いで明智光秀を討ち取り、秀吉にとって、大きな武功をあげることとなります。
その後の秀吉は、忙しい日々に追われることになります。
下巻のメインは、意外にも「備中高松城攻め」「清須会議〜賤ケ岳の戦い」「徳川家康との同盟」の3つで、本能寺の変で明智光秀を破ったことはサラリと書かれています。
また、豊臣秀吉として天下取りとなった後のことは、ほぼ触れることなく、「徳川家康との外交のやり取り」を進めた後に、あっさりと終わってしまいます。
九州討伐や天下統一の件は、ほぼ触れることなく終え、司馬遼太郎が、徳川家康のことを書き始めた途端に終わってしまいます。
結局、「新史太閤記」も徳川家康に話を持って行かれる格好で終わりました。
この後の司馬遼太郎「関ヶ原」へ繋がるような・・・。
「関ヶ原」の序章のような終わり方をしていて、もうちょっと豊臣秀吉を書いて欲しかったので、ちょっと複雑な気持ちになりましたね。
この「新史太閤記」で、司馬遼太郎は、「人たらし」の豊臣秀吉が、結局「気遣い」に翻弄する最後になったことを訴えているような内容でした。
織田信長や徳川家康のように家臣を持つ家ではなく、単身で成り上がったが故に、織田家の同僚と上手く付き合うことに気を遣い、また隣国である徳川家に気を遣うような形で全てが終結してしまました。
確かに、他の天下取りの2人と比べると、一見派手な秀吉ですが、場面場面の気遣いには、苦労したような気はしますね。
これで司馬遼太郎「戦国三部作(太閤記・関ヶ原・城塞)」は読み終えました。
たまには、読みやすい小説でも買ってみようと思います。