最後のトリック / 深水黎一郎
深水黎一郎「最後のトリック」を読みました!
- 作者: 深水黎一郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/10/07
- メディア: 文庫
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本屋に小さく「大どんでん返し」のコーナーがあり、そこに並んでいた「最後のトリック」を購入しました。
『読者全員が犯人!』という帯は、ミステリーでも、相当気になる部類なので、買ってしまいました。
正直な感想は、「う〜ん・・・。」という感じ。
叙述トリックでは、初めて読んだ我孫子武丸「殺戮に至る病」が最も衝撃的!
我孫子武丸には、「うわー!やられた!」という感じで、その衝撃には敵わない感じでした。
結論としては、確かに「読者全員が犯人」かも知れませんが、読者が「あー!殺してしまった!」という感覚がないので、やられた感は一切ありませんでした。
アイデアがあっただけに、『「読者が殺してしまった感」をどう書くか?』という意図が盛り込まれていれば、大ヒットしただろうな・・・。
と思うだけに「惜しい」と思う作品でした。
ミステリー小説は、淡々と進むのが良くもあり、悪くもありますね。
登場人物が、あまりに読者とかけ離れた存在だと、感情移入することなく読んで行ってしまいます。
ミステリーに登場する主人公や探偵というのはミステリアスであり、読者が主人公とは一線を置いた。客観的目線でストーリーに入ってしまいます。
例えば、ポアロのような人間。誰も「自分に似てる!」とは思わないですよね?
逆に、「名探偵コナン」なんかは、読者が子供だけに、主人公も子供にしたのは、流石、少年漫画界のプロと言えるアイデアと思います。
意外と、登場人物に気持ちが入ってしまう目線で書くことで、ミステリーの世界はガラリと変わってしまう気がしますね。
ま!「目線」が叙述トリックの醍醐味なので、アイデアに対し、「どう目線を向けるか?」って考えると、書く側としては、面白いですね!
深水黎一郎「最後のトリック」は、色々と感じる作品でした!